将来の大規模修繕へ計画的に備えて、毎年の掛金は全額経費算入できる共済制度が誕生
投稿時間 : 2022年07月07日 11:002022年5月、全国賃貸住宅修繕共済協同組合による「賃貸住宅修繕共済」の運用がはじまりました。
これは、まとまった資金が必要となる大規模修繕に向けて、計画的に備える賃貸オーナー様支援のための制度です。
共済金の対象となるのは、外壁・軒裏・屋根となりますが、この共済の大きな特長は、何といっても掛金を全額経費算入できることです。
アミックス会長の高橋が会長を務め、私も理事となっている「全国賃貸管理ビジネス協会」(以下、全管協)が母体となって実現に向けて活動し、2021年10月に認可されました。
掛金上限は修繕費の総額、天災でも適用可能
「賃貸住宅修繕共済」への加入には、修繕予定箇所(外壁・軒裏・屋根)の過去の工事実績や見積もりをもとに、費用を算出する長期修繕計画が必要となります。
修繕にかかる費用試算の総額が上限となり、いつ工事を行うかによって、月々の掛金が決まります。たとえば、10年後に外壁の修繕を行うとして、費用の見積もりが600万円の場合、積み立ての上限は600万円となります。10年で600万円なので年間60万円、月々の掛金は5万円です。
さらに、共済金が支払われるのは、原則として修繕工事のときですが、自然災害*により損傷した場合にも、掛金を利用することができます。
たとえば10年後の修繕のために備えていたけれど、仮に5年後に台風で外壁が崩れてしまった、などというときには、その時点での範囲内で修繕費として利用することができます。*地震・噴火・津波・土砂災害は除きます
分譲マンション「修繕積立金」にあたる制度を賃貸でも実現
建物の維持のために大規模修繕はいずれ必要になりますが、費用が高額なため、オーナー様にとって大きな負担となっていました。
さらに、資金調達の目処がたたない場合、工事を先送りしてしまうこともあります。
すると、建物の劣化がすすみ、空室も増え、入居者の質も落ちて経営が悪化するという悪循環になってしまうのです。
一方で、分譲マンションでは、以前から、管理組合が所有者から修繕積立金を徴収して管理する制度がありました。
積立金は、所有者の意向にかかわらず、建物の保全に使われるため、経費として認められています。
ところが、賃貸住宅の場合にはそのような制度はありませんでした。オーナー様が、個人的に将来の修繕費用を貯めていたとしても、それは課税対象となります。納税後に残った資金を修繕費として積み立てるしかなかったのです。
それなら、賃貸オーナー様も分譲マンションと同じように経費にできる修繕積立金の制度をつくりたい、という思いから生まれたのが今回の制度です。修繕以外の用途に使用することはできませんが、掛金はすべて経費として計上できます。
“建物を長く使う”という国の方針にも合致
全管協では、これまで数年間、国とのさまざまな協議を経て制度実現の方法を模索してきました。今回の制度化には、全管協からの要望を受けて、政権与党である自由民主党の国会議員で構成する「賃貸住宅対策議員連盟」(賃貸議連)が賛同、関係省庁などへの働きかけを行った経緯もありました。
その背景には、建物を長く使っていくという国の方針にもとづき、民間賃貸住宅においても、適切な管理を続けるためのオーナー支援策が必要、という点で意見が一致したということもあります。
ご加入のご相談はアミックスへ
掛金全額を経費算入できることで、オーナー様の負担を軽減しながら、しっかりと将来へと備えられるのが「賃貸住宅修繕共済」です。
修繕費の総額が掛金の上限となりますが、全額を積み立てる必要はありません。上限の50%~100%の間で、掛金を自由に設定できます。
私自身も、さっそくこの共済に加入しました。私の場合、所有マンションを20年後に1,200万円で修繕する計画です。20年間で1,200万円の積み立てが上限となるため、1年で60万円、月の掛金は5万円となりました。
まだ制度がはじまったばかりのため、当面は外壁・軒裏・屋根の修繕のみに適用されますが、全管協では、近い将来、さらに使いやすい制度となるよう拡充を目指しています。
オーナー様にも大きなメリットがある制度であるとともに、建物管理の健全化、建物の長寿命化など社会的にも大変意義があります。ぜひ、多くのオーナー様にご賛同いただき、加入をご検討いただければと思います。
「賃貸住宅修繕共済」は、全管協に加入している管理会社が代理店契約を結ぶことができます。もちろん、アミックスも代理店として登録しています。
アミックスは、将来を見据えた修繕計画をもとに加入のお手伝いをしています。ぜひお気軽に担当者までご相談ください。